今日から日本酒を

「日本酒を世界へ」というミッションのもと、国内外のまだ日本酒に馴染みがない方々に、國酒日本酒の魅力・感動を発信しています。蔵元さんや酒販店さんと会って感じたこと、開催した酒会、行った酒会の感想などを書き記しています。「日本酒っておいしい!」そういってくれる人が一人でも多くなればとても嬉しいです。

日本酒飲み比べ ~酵母違い~

どうもTakuです。

 

酵母違いの日本酒飲み比べイベントに参加してきました。

 

いつもお世話になっている八咫@新宿三丁目では定期的に日本酒のイベントをやっていて、蔵元を呼んだり、日本酒の原料米違いのイベントをやっていました。

 

今回は以前から気になっていた「酵母」についての飲む比べ…というよりお勉強☆

 

お勉強内容は少々長くなってしまったので、興味があるかたは文章末尾にとんでください笑

 

飲み比べる酵母は7種類。

協会6号・協会7号・協会9号・協会1401号・協会1801号・花酵母、そして協会の最新酵母1901も!

 

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同じ酵母をそれぞれ2本(タテ飲み)、そして7種類の酵母(ヨコ呑み)、それぞれの酵母の特性(香りや酸、製造過程など)を解説しながら、合計14本の飲み比べしていきます。

 

※比較しやすいように、可能な限り、精米歩合も製造法も同じものを用意しています。

 

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最初に飲み比べたのは、現在使われている酵母で最も古い酵母は「協会6号酵母」。昭和10年に秋田の新政から採取されたものです。“この頃までは日本酒造りは西日本に限定されており、東北では寒すぎて酵母が活性せず、良い酒は造りづらかったが、この酵母の登場により、一気に酒造りの土壌は東北に移る契機に”なったそう。

 

特徴は低温でも発酵力が強く、酢酸イソアミル主体。香りは強い印象でした。

 

 

続いて協会6号とよく似た「協会7号酵母」。長野県の真澄から分離された酵母です。

6号と同じくらい吟醸香を感じましたが、飲み比べた日本酒の酸度が影響したせいか、シャープな後味でした。現在最も多く使用されている酵母だそうです。

 

 

 

 

 

こんな感じで、一応飲み比べた酵母の感想綴ったのですが、むちゃくちゃ長くなってしまいました。

後半に酵母のお勉強が控えているのもあり、少々省略していこうかなと。。

 

 

9号酵母とかはよくみるし、似たような説明(失礼)続くので、重要なことを言っている最新の1901酵母まで飛びますね(乱暴)。すみません。。。

 

 

さて「協会1901号酵母」は2014年委開発された最新の協会酵母です。

最大の特徴は日本酒に含まれている「カルバミン酸エチル」を生成せず、優良な酒質を実現するために開発されました。

 

…聞きなれないワードが出てきましたね。

 

カルバミン酸エチルとは、酒類を含む発酵食品に天然に存在し、平成19年に(おそらく発がん性があるとされるグループ)に分類された物質です。

 

酵母が生み出す尿素とアルコールが反応してできるもので、日本では食品衛生法上の規制値はありませんが、国税庁が実態の調査等対応しているところ、だそうです。

 

なんだか問題なのか問題じゃないのかわかりませんね。。

 

昔カナダに日本酒を輸出する際、カルバミン酸エチルの規制値がない日本に対し、制限のあるカナダで検査に引っかかってしまい、港で荷揚げされずに全量返品になったというニュースから注目されたようですが。

 

ざっくりいうと、酒類を含む発酵食品には発がん性が(おそらく)ある物質が含まれており、特に清酒は多く含まれているからちゃんと調査しましょう、といったところでしょうか。

 

いまいち納得できないのですが、話を戻すとそんな疑わしい「カルバミン酸エチル」を生成しないのが「協会1901酵母」というわけです。

いくら日本では規制がなく、無視できるレベルの内容でも、輸出先で規制されていたら販売できないですから。そういった意味ではイノベーションを起こした酵母といえるのではないでしょうか。

 

もちろん味わいも香りのバランスが良く、出席した方々からも評価の高い日本酒でした。

 

 (今回の日本酒たち)

 

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酵母もなかなか奥が深いですね。はまったら抜け出せそうもないですね。

 

今回の飲み比べはできるだけ精米歩合も製造法も同じものを用意してもらいましたが、残念ながら細かな違いは分かりませんでした。だいたいの特徴はつかめましたが…

 

玄人はテイスティングしただけで酵母の違いとか分かるのか。どうなんでしょう笑

 

 

以下は学問的な内容ですので

 

うんちく、日本酒検定取得を目指している(試験にでるか?)方は読んでいってください笑

 

 

 

~酵母概要~

 

清酒の酵母は単細胞で基本的に環境が整っていれば、増殖(細胞分裂)を繰り返して永遠に生き続け、蔵元にはもちろん、普段生活している空間など、あらゆる場所に生息しています。それまでは確認されていなかった清酒酵母が発見されたのは明治時代。現代では協会が管理している協会酵母だけでなく、各県や蔵元が独自に開発したものもあります。

 

 

以前はYK35といって、Y(山田錦)、K(熊本酵母)、35(精米歩合35%)の条件を満たせば、鑑評会では金賞が取れるともいわれました。

 

それほど重要なポジションを占める酵母の役割、さっそく見ていきましょう、

 

 

【酵母の役割】

酵母は主に、アルコール、香り、酸味を生み出します。

 

麹の酵素によって、でんぷんはブドウ糖、タンパク質はアミノ酸、脂質は脂肪酸になった後、それぞれは

 

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ブドウ糖→アルコール、有機酸(乳酸、コハク酸、リンゴ酸等)

アミノ酸→酢酸イソアミル、酢酸エチル

脂肪酸 →エステル(雑味の一要因)

 

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に変化します。

 

玄米の表面にはビタミンやタンパク質の他、脂質が含まれており、これらの成分は通常食べる分には良いのですが、こと日本酒造りに関しては、雑味の原因になります。なので表面を削る(精米)ことで雑味を取り除きます。精米歩合米が高い日本酒がすっきり、雑味がなく飲めるのは、この精米のおかげです。

 

 

 

【酵母が生成する主な香り】

 

酢酸イソアミル …バナナや洋ナシのような香り

カプロン酸エチル…リンゴやメロンのような香り

 

カプロン酸エチル、利き酒師の過去問に出ていた気がします。

香り成分はどちらか一方が含まれているわけではなく、混在していることが多いといわれます。なので酢酸イソアミルの割合が高ければバナナのような香り、反対にカプロン酸エチルが多ければ、リンゴやメロンのような香りを感じることが多いということですね。

香りがフルーティなものだと、辛口と言われる日本酒も、甘口に評価される場合があります。味わいが甘口がなのではなく、総合的な印象、後味が甘口であるといった方が正しいのかもしれませんが、それほど香りは日本酒の評価に大きな影響を与えています。

 

近年では吟醸香が日本酒の人気復活に一役買っていると思われますし、下のグラフはそれを示唆しております。イソアミルのような甘さが強調された香りよりも、カプロン酸エチルの爽やかな香りが人気のようです。

 

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(参考文献)

日本酒 タテ飲みヨコ呑み 酵母編より@八咫 新宿三丁目